さらなる規模拡大を見据え、能動的に動ける人材を育てたい

お問い合わせはこちら

農業ブログ

さらなる規模拡大を見据え、能動的に動ける人材を育てたい

2025/03/11

さらなる規模拡大に向けて、能動的に動ける人材を育てたい

ある一定の規模を超えてくると、一人で全ての農作業をするのは難しくなる。そこのラインは栽培している作物やリーダーのポテンシャルにより違いはあるでしょう。さらなる規模拡大を目指すためには作業を効率的に進め、「指示を待たず、自分で考えて動ける人材」の育成が不可欠だと常々思う。

これまでの経験を踏まえ、能動的に動ける人材を育てるために意識したい5つのポイントを、詳しく掘り下げてみたいと思います。

1. 仕事の「目的」と「ゴール」を明確に伝える

単に「この作業をやって」と指示を出すだけでは、作業者は「何のためにやるのか?」を理解できず、言われたことを機械的にこなすだけになりがちだ。特に規模が大きくなると、経営者が一つひとつ細かく指示を出すのは不可能になるため、作業者が「なぜこの作業をするのか?」を理解し、自分で考えて動ける状態を作ることが重要になる。

実践方法

  • 「なぜやるのか?」をセットで説明する

    • NG:「この畝をマルチ張りして」
    • OK:「雑草を抑え、土の乾燥を防ぐためにマルチを張る。定植作業をスムーズにするために、シワなくピンと張るのが大事」
  • 作業のゴールを明確にする

    • 「この作業が終わればOK」ではなく、「この状態になれば成功」という基準を示す(例:土がしっかり被さっていて風で飛ばない状態になればOK)。
  • 作業者に「なぜこの作業が必要なのか?」を説明してもらう機会を作る

    • 教える側に回ることで、理解が深まり、自分の中で目的を再確認できる。

 

2. 小さな判断を任せる機会を増やす

現場では日々、さまざまな判断が求められる。しかし、「間違えたら怒られる」「どうせ決定権がない」と思っていると、人は考えなくなる。いきなり大きな決断を任せるのではなく、小さな判断を積み重ねる経験をさせることで、「自分で考える習慣」をつけていく。

 

実践方法

  • 作業基準を決めたうえで、「最終判断は任せる」形にする

    • 例:「このサイズ以上の白ネギは規格外だから、判断して選別してね」
    • ただし、「どこまでならOKか」迷うラインもあるので、基準を細かく決めて伝える。
  • 「どうすればいいと思う?」と聞く習慣をつける

    • 何か異常があったとき、「報告だけで終わらせない」ようにする。
    • 例:「この畑の生育が遅れているんですが…」と言われたら、「じゃあ、どう対応すればいいと思う?」と返す。
  • 「判断してOKな範囲」を広げていく

    • 最初は「この区画の収穫の順番を決めていいよ」
    • 慣れてきたら「今日の作業スケジュールを組んでみて」
    • 最終的には「このエリアの管理を任せる」

 

3. 失敗を責めず、改善点を一緒に考える

「失敗を怒る環境」では、作業者はチャレンジしなくなる。失敗を成長の機会と捉え、「次はどうすればうまくいくか?」を一緒に考えることで、自ら考え、動ける人材が育つ。

 

実践方法

  • 失敗の原因を一緒に考える

    • 例:「水やりのタイミングが悪くて苗が弱った」→「なぜこの時間にやったの?」「どうすればよかった?」
    • 「どうすれば次はうまくいくか」を自分で考えさせる。
  • 同じ失敗が繰り返されない仕組みを作る

    • ミスを防ぐためのルールを一緒に考える。
    • 例:「○○の作業を忘れやすい」→「作業リストをチェックシート化しよう」
  • 経営者自身も「失敗談」を話す

    • 「自分も昔はこういう失敗をした」と共有することで、心理的ハードルを下げる。

 

4. 知識と技術を共有し、学べる環境をつくる

「考えて動いてほしい」と言っても、知識や技術がなければ判断できない。作業者が成長できる環境を整えることで、より主体的に動けるようになる。

 

実践方法

  • 作業の理由を説明しながら教える

    • 例:「肥料をこの時期に入れるのは、成長のピークに合わせるため」
  • 勉強会や研修を定期的に実施する

    • 新しい農業技術や栽培方法について学ぶ機会をつくる。
  • マニュアルや作業手順書を整備する

    • いつでも確認できるようにし、「どうすればいいか」を自分で調べられる状態にする。

 

5. 評価とフィードバックをこまめに行う

「頑張っても評価されない」「できてもできなくても同じ」という環境では、能動的に動こうという意欲は生まれない。正しく評価し、成長を実感できる仕組みを作ることが重要。

 

実践方法

  • 良かった点を具体的に伝える

    • NG:「よく頑張ったね」
    • OK:「畑の管理の優先順位を自分で考えて動いてくれたのが助かった」
  • 成長のフィードバックを定期的に行う

    • 1ヶ月ごとに「できるようになったこと」を振り返る機会を作る。
  • 報酬や役職に反映する仕組みを作る

    • 「この仕事を任せられるレベルになったら昇給」「この作業を任せるようになったらリーダーに昇格」など、頑張った人が報われる環境を作る。

 

 

まとめ:さらなる規模拡大に向けて

能動的に動ける人材を育てるには、次の5つが重要だ。

  1. 仕事の「目的」と「ゴール」を明確に伝える
  2. 小さな判断を任せる機会を増やす
  3. 失敗を責めず、改善点を一緒に考える
  4. 知識と技術を共有し、学べる環境をつくる
  5. 評価とフィードバックをこまめに行う

 

規模を拡大していくには、「単なる作業員」ではなく、一緒に「農場をつくっていく仲間」を育てることが必要不可欠。

これからの農業経営において、こうした取り組みをさらに強化していくことが重要だと思う。

私共も悪戦苦闘の毎日ですが、作業手順書の作成や共有、定期的にミーティングを実施し知識と技術の共有を図って

おります。人材育成に終わりはありません、環境の変化に適応しながら、今後もより良い方法を模索し続けることが重要であると感じています。