物流と農家は一心同体 〜物流が止まれば農業は終わる〜

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農業ブログ

ロジスティクスと農業は一心同体 〜物流が止まれば農業は終わる〜

2025/03/22

 

はじめに

日本の農業は、ロジスティクスなしには成り立たない。農産物は生きた商品であり、収穫後の鮮度を維持しながら、消費者のもとへ迅速に届けることが求められる。すべての農家にとって、物流はまさに生命線だ。もし物流が止まれば、農産物はお客様に届かず、農家は収入を得ることができない。ロジスティクスが農業を支えているのは間違いないが、近年の物流業界の課題は深刻化している。ドライバー不足、燃料費の高騰、さらには制度上の問題が、農業の未来を左右する可能性がある。我々も新規で取引を行う場合、条件面ではお互い合意した場合であっても、運んでくれる物流会社様が決まらず取引に至らない場合が過去に何度もあった。

物流が安定して機能することで、私たち農家は安心して作物を育て、市場に供給することができる。逆に、輸送が混乱すれば、せっかく育てた作物も無駄になり、収入が激減する。これは農家だけの問題ではなく、日本全体の食料供給に関わる重大な問題でもある。本記事では、物流と農業の密接な関係について掘り下げ、今後の課題と解決策について考えていきたい。

物流が止まれば農業は終わる

農業は、作物を育てることが全てではない。収穫した作物を消費者に届け、適正な価格で売ることができて初めて成り立つ。しかしながら、輸送が機能しなければ、農産物は畑や倉庫に取り残されることになる。特に白ネギのような生鮮品は、収穫から時間が経つほど品質が劣化し、売り物にならなくなる。農家にとって輸送は、まさに「命綱」だ。

物流が滞るとどうなるか。例えば、「2024年問題」として知られる物流業界の働き方改革によって、トラックドライバーの労働時間が短縮された。これにより、輸送の効率が低下し、配送コストが上昇した。今後もさらに上昇するだろう。農家にとっては、輸送コストの増加はそのまま販売価格に影響し、最終的には消費者が負担することになる。実際に野菜の小売価格はほぼ全ての品目において上昇している。しかし、価格が高騰すれば売れ行きが落ち、農家も利益を確保できなくなるという悪循環に陥る。

さらに、気候変動の影響による天候不順も、輸送の負担を増大させている。異常気象が続けば、特定の地域での収穫量が減少し、より遠方から農産物を運ばなければならなくなる。その結果、物流コストはさらに上がり、農業経営の負担は一層重くなる。

物流業界の現状と課題

1. ドライバー不足

日本の物流業界では、深刻なドライバー不足が続いている。高齢化が進み、若い世代の参入が減少しているためだ。農産物の輸送には専門的な知識が必要であり、温度管理や積載方法によって品質が大きく変わる。特に生鮮品を扱うトラックドライバーは、慎重な運転と迅速な配送が求められる。しかし、長時間労働や低賃金の問題から、新たな人材が確保しにくくなっている。

また、都市部と地方の輸送格差も大きな問題だ。都市部では物流の需要が高く、一定の人材確保ができているが、地方ではドライバー不足がより深刻になりやすい。その結果、地方の農産物の輸送コストがさらに上昇し、農家の負担が増してしまう。

2. 燃料費の高騰

物流コストの大部分を占めるのが燃料費だ。ここ数年、原油価格の変動により燃料費が高騰しており、これが輸送コストを押し上げている。特に長距離輸送が必要な農産物は、その影響を強く受ける。燃料費が高騰すれば、運賃の値上げは避けられず、結果的に農家の利益を圧迫することになる。

3. 暫定税率の影響

燃料費の問題と関連して、日本では軽油やガソリンにかかる「暫定税率」が長年課題となっている。この暫定税率は1974年に導入され、本来は一時的な措置として設定されたものの、50年近くにわたり継続されてきた。その結果、物流業界にとっては燃料コストの増大が避けられず、運賃の上昇を招く要因となっている。

もし暫定税率が撤廃されれば、物流会社の燃料負担が軽減され、運賃の抑制につながる可能性がある。そうなれば、農産物の輸送コストも低下し、農家の収支が改善されることが期待できる。

 

まとめ

農業は輸送があってこそ成り立つ。特に、暫定税率の廃止によって物流会社の収支が改善されることを強く望んでいる。輸送網が安定すれば、農産物の流通コストが下がり、農家も安定した経営ができるようになる。さらに、流通の円滑化は日本の食料供給全体の安定にも直結する。新鮮な農産物が適正な価格で消費者に届くことは、国内の食料自給率向上にも寄与する。

物流の改善は農家だけでなく、日本の食の未来にとっても大きな意味を持つ。農産物の安定供給を確保するためには、物流業界が持続可能な形で運営されることが不可欠だ。そのためには、物流コストの抑制だけでなく、ドライバーの労働環境改善や新技術の導入も進めるべきである。

例えば、ITを活用した効率的な配送ルートの管理や、無人輸送システムの実用化が今後の課題となる。農業と物流の連携をより強化し、日本の食を支える仕組みを守っていくために、具体的な対策を講じるべき時が来ている。そのためには、行政や業界団体、さらには消費者を含めた社会全体での理解と協力が不可欠だ。

 

ーーーロジスティクスの概念ーーー

ロジスティクスとは、単なる輸送ではなく、供給チェーン全体を最適化する包括的なプロセスを指す。これには、原材料の調達、効率的な在庫管理、適切な輸送手段の選定、そして最終的な配送に至るまでの各段階が含まれる。物流の効率化によって、コスト削減や迅速な商品供給が可能となるだけでなく、環境負荷の低減にもつながる。農業分野においても、生産地から消費地までの輸送を円滑に行うことで、作物の鮮度を維持し、安定した供給を確保することができる。例えば、温度管理の徹底や適切な梱包技術の活用によって、農産物の品質を長期間保持することが可能になる。持続可能な農業を実現するためには、物流の最適化が欠かせず、最新のテクノロジーやデータ分析を活用したロジスティクスの強化が今後ますます重要になるだろう。