新規就農への越えなければならない5つの壁

お問い合わせはこちら

農業ブログ

新規就農へ越えなければならない5つの壁

2022/11/16

週末農家のすすめ

こんにちは。後藤です。

今日は私の就農体験をもとにどうすれば

「スムーズに農業が始められるか」

というテーマでお話したいと思います。

 

非農家出身の方が農業を始めるには

越えなければならない【5つの壁】

存在します。

 

一つづつお話していきたいと思います。

 

新規就農に関する情報はネット上に

あふれ返っておりますので

ここではあくまでも私の体験談を

もとにお話しさせていただきます。

一つ目の壁  圃場(畑)を借りる

素人に畑を貸してくれる人はいない

非農家出身である私はまず頼るべきは

行政だろうと市の農林水産課へ赴きます。

 

そして私は、

 

「農業をやりたいのですが、畑を貸して

いただける方を探しています、ご紹介

いただけないでしょうか」

 

とお願いしました。

 

当然ですが、いいお返事はいただけず、冷たい

視線を浴びたような気がしてすぐ退散したのを

覚えております。

 

今考えればわかりますが

それはそうですよね。

私が逆の立場でもそんな対応をしたでしょう。

農業経験がゼロのどこの馬の骨ともわからない

奴に畑を紹介できるわけがないのです。

 

県に新規就農の相談をした時も、オブラートに

包まれてはいましたが

 

「農業で家族を養っていくのは難しいから

 会社勤めを続けたほうが良い」

 

みたいなアドバイスをいただきました。

 

自分は本気で、いろいろなところに相談しても

なかなか話しが進展しないジレンマと

戦っていました。 

 

この時、私は思いました。

既成事実を作るしかないと

 

「農業経験者になればいいんだ!!」

 

そしてJAへ赴き、とにかく自分は白葱を

作りたいんだという事をアピールします。

 

最初はここでも

 

「どこの馬の骨ともわからない奴」

 

でした。

ですが何度も通って相談しているうちに

 

「こいつ、本気なんだな」

 

という事が伝わったのでしょうか。

白葱栽培に関する収支データや栽培情報なども

いただけるようになり、畑を探してみようか

という申し出をいただきました。

 

そして私の記念すべき最初の畑は、相談に

通っていたJAの事業所長の仲介により

貸していただけたのです。​​​​​

 

JAの仲介により信頼感が生まれ、地主さんは

快く畑を貸してくれたのだと思います。

 

新参者が野菜を作っていると目立つらしく

通りすがりの人に、よく話しかけられたのを

覚えています。

 

そして必死に白葱を作っている私を見て、

 

「うちの畑も作ってくれないか?」

 

と、自分で探さなくても畑の耕作依頼が

舞い込んでくるようになりました。

 

こうして私は、農家になる前にまず

【農業経験者】になりました。

 

これが兼業農家の始まりです。

 

※誤解のないように説明させていただきますが

後藤農園は、市や県から多大なる御支援を

いただいて、営農しております。

 

 

二つ目の壁  栽培技術

私が就農した静岡県磐田市は白葱の栽培が

盛んに行われておりJAの白葱部会に

加入する事を条件に苗の供給から収穫

調製に至るまで全面的にJAのサポートを

受けられます。

 

畑を探すときにお世話になった流れで

白葱部会に入り、栽培に関する指導も

JAからいただきました。​​​​​

 

私の場合は誰かの下について教えてもらった

という経験はなく、JAでいただいた情報を

もとに自分なりに作ってみて

試行錯誤していき今に至るわけですが

当然近くに師匠なる存在がいれば

心強いことでしょう。

 

栽培技術に関していえば、

 

「これで完璧だ」

 

みたいなものはないので、生きて農業を続ける

限りは永遠に試行錯誤です。

 

これくらいの覚悟が必要ですね。

​​​​​
​​​​​

 三つ目の壁  設備(農業機械)投資

最初は中古でも良いと思いますが、やはり

使用頻度の高い機械は新品を購入することを

おすすめします。

中古品は修繕費がかかるのでトータルで

考えたら新品の方がコストが安いなんてことも。

(程度の良い中古品は、なかなか入手困難) 

 

週末農業でスモールスタートなら必要最小限の

設備をそろえ、規模の拡大と共に自分で必要だ

と思う機械を買い足していく感じで良いと

思います。

 

ちなみに私は、当時乗っていたライフを売却し

そのお金で中古の軽トラックを

20万で買いました。

余ったお金はその後の営農資金に充てました。

 

そして、妻に融通してもらったお金で

(私のお金でもありますが)

 

背負いの動噴を2つと、新品の管理機

そして、平鍬や三本鍬などの小農具等を

買い、自宅の片隅に農機具をしまう

小さなパイプ小屋を自作し

スタート時点での設備投資額は

約100万円です。

 

形から入る方が多く、過剰な設備投資を

している新規就農者を見かけますが

栽培技術が身についてきて必要になった時に

買い足しても遅くありません。

 

買ったはいいが、あまり使わないみたいな

ことにならないようにするのがポイントです。

 

 

四つ目の壁  資金調達(資金繰り)

100万円を握りしめて

ここで大事なことがあくまでも事業用として

まずいくら現金が用意できるかという事です。

 

私の場合は妻に設備資金として100万円を

用立ててもらいこの範囲で必要最低限の設備を

購入します。

 

ここで重要なのが本業(サラリーマン)の方で

家族を養っていけるだけの収入があること。

 

いきなり専業でスタートした場合

定植してから収穫、出荷後、売り上げが

入金されるまでの生活費が必要になります。

 

白葱の場合

仮に生活費が20万/月だとして7か月分が

必要。

少なく見積もって140万ですね。

 

それから苗や肥料、農薬、その他出荷資材も

購入先の支払い条件によっては、売上代金の

回収よりも先に支払い期限が来ます。

 

そして万が一台風などの自然災害に見舞われ

思っていた利益を稼ぎ出すことができなかった

場合、一年目から家族は路頭に迷います。

 

融資を受けるという選択肢もありますが

栽培技術も身についていないうちに、融資を

受けることで精神的に追い詰められます。

 

こんなリスク、恐怖に新規就農者が耐えられる

でしょうか?

 

私には耐えられません。

 

私が週末農業を推奨する理由は

こういったところです。

 

兼業で農業を始めてしまうと、

もらえなくなってしまう補助金や助成金も

あるので注意が必要ですが、近くに研修を

受けれるようなところがない、独学で

新規就農を目指すしか選択肢が

ないという方はまず農業を

 

【経験する】という事 

 

  次に

 

【再生産】できる資金を確保する事

 

に力を注いでください。

 

自分は体力的にも精神的にも農業で家族を

養っていけるのか? 

 

農業に人生をささげる覚悟があるのか?

 

兼業農家のうちに自問自答してください。

 

「こんなはずじゃなかった、自分には無理だ」

 

と感じたときに【引き返す道】

を残してください。

(補助金をもらっている場合は引き返せません)

 

そして進む覚悟が決まったのなら

一心不乱に突き進んでください。

 

五つ目の壁  家族の協力

妻の同意

そして最後に一番大事なことです。

農業を始めるにあたっての

 

家族(妻)の同意です。 

 

家族の同意を得られないまま自分の思いだけで

強引に就農をするとその後、確実に来る困難に

打ち勝つことができません。

 

特に農業を始めたばかりの頃は作業が

思うように捗らないなんてことはざらに

あります。

 

そんなときに協力してくれる家族がいれば

心強いですよね。

 

私も農業を始めたばかりの頃は母や、妻に

少なからず協力してもらいました。

 

私は実際に農業を始める前に2年間ほど

「やろうか、やめようか」

と悩んでいた期間がありました。

この時、何に悩んでいたか? 

 

妻にどうやって納得してもらうか。

どうやってお金を出してもらうかです。

 

この当時は農業を甘く見ていたのか、すべて

が成功する前提で物事を考えておりました。

 

その甘い考えは兼業一年目であっさりと

打ち砕かれますが・・・。

 

妻に実際に農業をしたい旨を伝えるまでに

2年間を要したのです。

 

その間にしていた事といえば、妻を納得させる

為の資料作りです。

 

まずは白葱の栽培収支や、そのエビデンスと

なる過去の白葱の単価などを調べ、白葱で

就農した場合、生活を含めてどういう未来に

なっていくかという資料を作ったのです。

 

そして説得を試みたのです。

 

そして、この時もし妻が100万円を出して

くれなかったら農業者としての自分は今、ここに

いなかったでしょう。

 

100万円という大金を出してくれた妻には

今でも感謝しております。

 

私の体験談が、農業をやりたいけど悩んで

一歩を踏み出せないでいる方の助けになれば

という思いで書きました。

 

就農に関するご相談など有れば真剣に

お付き合い致しますので、ご連絡ください。

 

日本の未来を担う農家が少しでも増えることを

願っております。

 

お付き合いいただきありがとうございました。