株式会社日本農業(ニチノウ)の挑戦 〜日本農業に風穴をあける若き力とともに〜

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農業ブログ

株式会社日本農業(ニチノウ)の挑戦 〜日本農業に風穴をあける若き力とともに〜

2025/04/01

日本の農業は、今まさに大きな転換点に立たされています。 農家の高齢化、担い手不足、耕作放棄地の拡大。長年、言われ続けてきた課題は、解決するどころか、より深刻なものになっています。

一方で、食のグローバル化が進み、海外市場では「日本産」の農産物への需要は確実に高まっています。しかし、そのポテンシャルを十分に活かせているとは言えないのが、いまの日本の現実です。

そんな閉塞感漂う農業界のなかで、異彩を放っているのが株式会社日本農業(通称:ニチノウ)です。

彼らの存在を初めて知ったとき、正直、私自身は「また一過性の農業ビジネスかもしれない」と半信半疑でした。 しかし、実際に取引を重ね、彼らと技術的な情報を共有し、現場での泥臭い努力を見ていく中で、その印象は大きく変わりました。

彼らは「本気」で、農業の未来を変えようとしている。 そしてそのアプローチは、これまでの農業界にはなかったビジネスセンスと現場主義を見事に融合させた、新しい農業の形でした。

 

ニチノウが挑む「農産物輸出」というフロンティア

ニチノウが設立されたのは2016年。創業メンバーの多くは、金融業界や商社など、これまで農業とは縁のなかった異業種出身者でした。

彼らは、日本の農業が抱える構造的な問題の一つに「販路の限定性」があることに着目しました。

国内市場は縮小し続けている。 しかし、世界では「日本産」の農産物に対する評価が非常に高い。

ここに大きな「伸びしろ」があると考え、ニチノウは農産物輸出に特化したビジネスモデルを展開します。

農家と直接契約し、選別・包装・輸出・販売までを一気通貫で行う。 農家側からすれば、これまで敷居の高かった海外市場への「出口」ができる。 そして海外の消費者にとっては、高品質で安全な日本の農産物が、より手に取りやすくなる。 まさに「農家と世界をつなぐ」取り組みでした。

 

単なる「商社」では終わらない

ニチノウのすごいところは、「買い付けて売る」だけでは終わらない点です。

彼らは2021年、子会社として株式会社ジャパンベジタブルを立ち上げ、野菜生産に踏み込むという選択をしました。

商社的な立場にとどまらず、「作る側」の苦労と可能性を肌で感じ、よりリアルな農業の現場に向き合おうとする姿勢。 この判断は、農業界の常識からすれば、かなり異例でした。

農業は、数字だけで動かせるものではありません。 天候、土、病害虫、作業員の手足、あらゆる不確定要素が絡み合う現場産業です。 その現場に、あえて足を突っ込んでいく彼らの姿勢に、「本気度」を感じないわけにはいきませんでした。

私たち後藤農園とジャパンベジタブル

実は私たち後藤農園も、ジャパンベジタブルとはさつまいもを通じて、今年で3年目の取引になります。私たちの農園では、これまで様々な取引先と関係を築いてきましたが、ジャパンベジタブルとの出会いは、これまでとは少し違う、新しい風を感じさせるものでした。

最初の取引は、正直に言えば「半信半疑」でした。 若い会社、若い担当者、資本力はあっても、農業の現場をどこまで理解しているのか。私たちが日々直面する、泥にまみれ、時に思うようにいかない現実を、果たして彼らは理解できるのかという疑念は、正直、拭えませんでした。

しかし、取引を重ねる中で、彼らは決して机上の空論を振りかざすことなく、私たちの現場の課題に耳を傾け、一緒に汗をかき、解決策を模索してくれるパートナーだと実感しています。作物を扱う以上、天候や病害虫、人的ミスなど、予期せぬトラブルは避けられません。そんなときも、彼らは決して責任を押し付けることなく、どうすれば次はうまくいくかを一緒に考え、寄り添ってくれました。

さつまいもの品質向上、栽培技術の改善、市場ニーズの共有。その取り組みは表面的なものではなく、時には現場で一緒に畑に入り、時には夜遅くまで農業について議論し、時には出荷先の海外バイヤーの声を私たちにフィードバックしてくれる。

その過程で私たちは、ジャパンベジタブルが単なる「買い手」や「取引先」ではなく、私たちと同じ方向を見据え、共に歩もうとしている仲間なのだと強く感じるようになりました。数字のやり取りだけでは生まれない、現場での会話と積み重ねが、私たちの信頼関係を育んできたのです。

 

若い農業者たちが見せる「農業の未来」

農業界に長く身を置いていると、「若い人たちは農業をやりたがらない」「継ぐ人がいない」という声を嫌というほど耳にします。 実際、全国の農業就業人口の平均年齢は68歳を超え、新規就農者の数も年々減少しています。私自身も地域で農業を営む中で、後継者不足の深刻さを肌で感じています。耕作放棄地が増え、集落の畑が荒れていく様子を見るたびに、このままで本当に農業は続いていくのかと不安になることも少なくありません。

そんな中で、ニチノウやジャパンベジタブルのスタッフたちは、明らかに異質です。

彼らは、決して農家の家に生まれ育ったわけでもなく、農業の世界に最初から身を置いていたわけでもない。金融や商社でキャリアを積み、都市部の快適なオフィスでキャリアアップの道を歩むこともできたはずの20代・30代の若者たちが、なぜわざわざ不安定で重労働な農業の世界に飛び込んでくるのか。

その背景には、彼らなりの「農業観」の変化があるのだと私は思います。

彼らは、農業を「しんどい産業」「後ろ向きな産業」としてではなく、「これから可能性のある成長産業」「自分たちが価値を創出できるフィールド」として見ているのです。

農業は、単なる生産活動ではありません。土地や人、技術、そして市場。あらゆる要素が絡み合い、一筋縄ではいかない難しさがあります。しかし、だからこそ「やりがい」があり、「工夫」や「挑戦」ができる余白があることに、彼らは気づいているのです。

さらに彼らは、数字とマーケットの目線を持ちながら、現場の土にまみれる覚悟も持っています。 パソコンの前でグラフやデータを眺めるだけでなく、自ら畑に入り、汗をかき、失敗を恐れずに動く。そのバランス感覚は、これまでの農業界にはなかったものです。

彼らのような若い農業者たちが、農業に「新しい風」を吹き込もうとしていること。それこそが、日本の農業の未来にとって、最大の希望ではないかと私は感じています。

ニチノウがもたらす「変革」

もちろん、ニチノウのビジネスモデルはまだまだ発展途上です。 生産、物流、販売、そして為替や国際情勢まで絡む「輸出」というフィールドは、想像以上に難易度が高い。 特に青果物のような鮮度が命の商品を扱う場合、その難しさは倍増します。天候による収量変動、国ごとの検疫・規制、さらには消費者の嗜好や購買行動の違いまで、考慮すべき要素は数え切れません。

それでも、彼らの取り組みは確実に日本農業に「新しい道筋」を示しています。

これまでの農業は、作ることに専念し、市場に流すことは他者に委ねるのが一般的でした。しかし今は、農家が「作る」ことだけで終わらず、「どこに」「どう売るか」まで考える時代になっています。 自分たちが作ったものの行き先まで責任を持つ。それは簡単なことではありませんが、自分たちの農産物に付加価値をつけ、市場を広げていくことこそが、これからの農業の生き残る道だと私は感じています。

そして、その取り組みを先頭に立って実践しているのが、間違いなくニチノウです。 大規模な農家でも、行政でもなく、民間ベンチャーがその役割を果たしていることに、時代の変化と希望を感じずにはいられません。

ニチノウは、農産物輸出の現場で得た知見や失敗も包み隠さず、同じ志を持つ生産者たちと共有しています。その姿勢は、私たち農家にとっても学びの多いものです。

 

最後に 〜「共に農業をつくる」ということ〜

私たち後藤農園がジャパンベジタブルと取引を続けている理由は、単に販路を確保するためではありません。私たちは、彼らを「共に農業をつくる仲間」だと考えています。目の前の利益や取引条件だけではなく、もっと長いスパンで「これからの農業」を一緒に模索し、試行錯誤し、形にしていく存在だからこそ、私たちは彼らと歩み続けています。

農業は、決してひとりでは完結できない産業です。 畑を耕し、作物を育てる生産者だけでなく、それを運び、届け、最終的に消費してくれる人まで、すべてがつながり、支え合って初めて成立する産業です。そしてそのつながりの中に、時代とともに新しい役割や価値が生まれ、農業の未来が少しずつ形づくられていくのだと、私は強く感じています。

その中で、ニチノウやジャパンベジタブルのような若い力が、これまでの常識にとらわれず、新しい挑戦を続けていることは、日本の農業界にとって希望そのものだと私は思っています。

彼らは、数字やマーケットの理屈だけで農業を語るのではなく、現場の泥臭さや、作物を育てることの難しさと面白さを理解し、自分たちの手と足で動こうとしている。その姿勢が、私たち生産者にとっても大きな刺激となり、「まだ農業は変われるのだ」という前向きな気持ちを引き出してくれています。

私たち生産者は、ともすれば日々の作業に追われ、未来を描く余裕を失いがちです。目の前の雑草を取ること、出荷作業をこなすことに忙殺され、「10年後、この農地はどうなっているのか」「自分の作っている作物が、どこで誰に届いているのか」そんなことを考える余裕さえなくなってしまう瞬間もあります。

しかし、そんな中でも「農業は変われる」「まだまだできることはある」と信じさせてくれる存在が、ニチノウであり、ジャパンベジタブルの若いスタッフたちなのです。彼らの行動力、柔軟な発想、そして何より現場へのリスペクトは、私たちが日々の作業に埋もれて見失いかけていた「農業の可能性」を、もう一度思い出させてくれます。

これから先も、彼らとともに日本の農業の未来を描き、模索し、現場からその変革を支えていきたい。そして、その取り組みがいつか、今この瞬間に畑で汗を流しているすべての農業者にとっての光となり、これからの世代へと受け継がれていくことを願っています。

その思いを、私はここに記しておきます。