表敬訪問

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農業ブログ

表敬訪問

2026/02/20

磐田市と㈱セブン-イレブン・ジャパンは、包括連携協定事業の一環として 締結年の平成30 年から連携した商品の開発を行っています。

私たちの白葱が使われております

磐田市長への表敬訪問から、気づけば二週間ほどが経った。忘れないように感謝の気持ちを綴っておきたい。

セブン‐イレブン・ジャパン様をはじめ浜松ベジタブル様、JA遠州中央様、磐田市職員の皆様、そしてメディアの方々が集まる厳かな試食会。ホームページ冒頭で紹介させてもらったが今年は白葱を使ったおむすびとスティックパンそして海老芋を使ったクリームシチューが商品化された。

普段は畑に立ち、天気と土と作物に翻弄されている自分にとって、厳かな会議室で商品を口にする時間は、少し現実感のない体験でもあった。

当日は緊張もあり、言葉を選びながらの受け答えになったと思う。けれど、時間が経った今のほうが、あの場の意味を静かに噛みしめられている。仕事の合間にコンビニへ立ち寄り、棚に並ぶ商品を見かけるたびに、つい足を止めてしまう。派手な達成感ではないが、胸の奥にじんわりと広がる確かな喜びがある。

自分が育てた白葱が、商品として形になり、誰かの手に取られていく。生産者として、これほど分かりやすい“報われる瞬間”はそう多くない。あの畑の白葱一本一本が、誰かの日常の食事につながっているのだと思うと、次の作業への向き合い方も自然と丁寧になる。


連携の現場に生産者がいる意味

この商品は、磐田市とセブン‐イレブン・ジャパン様の包括連携協定の取り組みの一つとして作られた。行政、企業、流通、生産者。立場や役割は違っても、「地域の中で価値をつくる」という一点では同じ方向を向いている。

表敬訪問の席に生産者が座る意味は、単なる“形式”ではないと思っている。畑の現実――作り手の思い、天候や生育に左右される難しさ、安定供給の重み――そうした背景を少しでも共有することで、解像度は確実に上がる。現場の温度感が伝わることで、商品づくりもまた現実に根差したものになっていくはずだ。


畑の当たり前が商品になるまで

白葱の状態を見る。天気を読む。生育に合わせて管理を変える。収穫のタイミングを見極める。どれも地味な“当たり前”だが、続けるのは簡単ではない。天候不順、資材高騰、人手不足。制約の中で、求められる品質と量を切らすことなく供給するために、日々細かな判断を重ねている。

商品開発の現場では、味や見た目に加えて、規格や供給の安定性が問われる。生産者として言わせてもらえば、コントロールできない要素も多い。それでも「できる限りブレないものを出す」ことが生産者の責任だと考えている。無理のない栽培、日々の観察、積み重ねた判断。その一つひとつが、結果として商品価値につながっていく。


感謝は時間とともに増す

商品が棚に並ぶまでに、企画、開発、物流、売り場づくりと、多くの人の仕事が重なっている。畑で育てた時点では“素材”でしかない白葱を、誰かの食事の一部へと変えてくれる人たちがいる。

生産者は、どうしても畑の中だけで完結している感覚になりがちだ。だが、実際には多くの専門性が重なり合って、はじめて商品は世の中へ届く。今回の取り組みに関わってくださった皆さんのおかげで、白葱は“商品”として、誰かの選択肢の一つになれた。あらためて、心から感謝したい。


作り手としての率直なよろこび

自分達が作った白葱が、商品として世の中に出るのは、やはり嬉しい。畑で収穫しながら「これが、あの商品になるんだな」と思う瞬間がある。そのたびに、背筋が少し伸びる。誰かの口に入るものを作っているという事実が、日々の作業を丁寧にしてくれる。

 


課題は山積み、それでも前へ

売れても売れなくても、畑仕事は続く。次の作付け、次の収穫、次の課題。天候の不確実性、コストの上昇、担い手の確保など、乗り越えるべき壁は多い。この機会を“良い思い出”で終わらせず、次の10年につながる一歩として受け取りたい。

派手なことはできないが、やるべきことを淡々と積み重ねる。

あたり前の事を、あたり前にやっていく、それが我々にできる唯一の事だと思う。

 

※追記

今日は、竜洋幼稚園の園児たちと一緒に、うちの畑で白葱の収穫体験を行った。畑で土に触れ、作物を抜く体験を通して、子どもたちの表情がぱっと明るくなる瞬間が印象的だった。食べ物がどこから来るのかを、ほんの少しでも体で感じてもらえたなら嬉しい。

この収穫体験の様子や感じたことは、あらためて後日、ブログにまとめたいと思う。