紅はるかの焼き方比較実験|蒸し焼きと低温焼き、冷却・再加熱で糖度計の数値はどう変わる?
2026/10/23

収穫から1か月以上寝かせた後藤農園の紅はるか(1本130〜140g)を使い、焼き方によって食感や糖度計の数値がどう変わるか試しました。
さらに、焼き上がり・冷ました後・電子レンジで温め直した後を測り、職場のみんなにも焼き方を伏せて食べ比べてもらいました。数値だけでは分からない違いもありました。
🟠 蒸してから焼く(ふかし焼き)
家庭用の蒸し器で約1時間蒸し、その後オーブントースターで230℃・30分焼きました。
蒸す工程を先に入れることで、出来上がりはしっとりした口当たり。職場では最初にこちらを食べてもらい、「しっとりしていて甘い」「おいしい」と好評でした。
🔵 150℃で2時間、そのまま焼く
こちらは蒸さずに、オーブントースターで150℃・2時間じっくり焼きました。写真に写る黒い四角い器具がオーブントースターです。
食べ比べでは、ふかし焼きもおいしいと言いながら、「そのまま焼いた方がねっとりしている」「コクがある」という声が出ました。焼き上がりの数値は近くても、食感と味わいの印象は同じではありません。
🟣 冷却・再加熱で数値はどう変わる?
それぞれ焼き上がり直後、十分に冷ました後、電子レンジで温め直した後にデジタル糖度計で測りました。
さつまいもは汁気が少ないため、水で5倍に薄めて測定しています。表は糖度計の表示値を単純に5倍した比較用の目安です。芋全体の糖分が何%あるかを表すものではありません。
| 状態 | ふかし焼き | そのまま焼き |
|---|---|---|
| 焼き上がり | 約57.0 | 約55.5 |
| 冷ました後 | 約45.9 | 約45.7 |
| 再加熱後 | 約57.3 | 約58.0 |
両方とも、冷ましたときは測定値が下がり、温め直すと焼き上がりに近い値になりました。たとえば、ふかし焼きは約57.0から約45.9へ下がり、再加熱後は約57.3でした。
薄めた状態での糖度計の表示値は、ふかし焼きが焼き上がり11.2〜11.5、冷却後9.0〜9.3、再加熱後11.2〜11.7。そのまま焼きは順に10.2〜11.9、8.5〜9.6、11.4〜11.8でした。表の数値は、この記録を5倍換算した目安です。
糖度計の数字は、甘さそのもの?
糖度計は、試料の汁に溶けた糖などの濃さを測る道具です。測定時の温度や、どの部分を取り出すか、水分の状態でも数字は変わり得ます。
そのため、今回の結果だけで「冷やすと糖が減る」「温め直すと糖が増える」とは言えません。数値が動いた理由を確かめるには、試料の取り方と測定時の温度をそろえて、さらに測る必要があります。
🟢 職場で食べ比べた結果
焼き方は伝えず、まずふかし焼きを食べてもらいました。「しっとりして甘い」と好評です。
続けてそのまま焼きを出すと、「どちらもおいしいけれど、そのまま焼きの方がねっとりしている」「コクがあっておいしい」という感想が集まりました。焼き上がりの換算値は近くても、口に入れたときの印象には違いがありました。
しっとりした食べやすさならふかし焼き。ねっとりした食感とコクを楽しむなら、150℃でじっくり焼く方法。どちらが好みか、ぜひ食べ比べてみてください。
次は、ふかし焼きの仕上げの時間を30分から延ばすとどうなるかも試してみたいと思います。
※芋には個体差があります。今回の数値と感想は、この材料・測定方法で得られた結果です。
検証に参照した資料
糖度計の測定原理と温度・試料の扱いについて、次の公的資料を確認しました。実験の数値と試食の感想は後藤農園の記録です。
🟢 糖度計の数字と、脳が感じる甘さ
糖度計が見ているのは、取り出した液に溶けている糖などの濃さです。一方、私たちの甘さは、舌で受けた刺激を脳が受け取って感じるもの。食べ物の温度や食感も、その感じ方に関わります。
人を対象にした研究では、冷たい甘味液は温かいときより甘さを弱く感じる条件がありました。ただし、この実験では芋を温度別に食べ比べていないため、「冷えた芋は脳が甘さを感じにくくした」とまでは断定できません。糖度計の数値が下がった理由と、甘く感じるかどうかは、分けて考える必要があります。
参考:Temperature Affects Human Sweet Taste via At Least Two Mechanisms(ヒトの甘味と温度の研究)
実験の写真
調理の様子と、2通りの焼き上がりです。写真を選ぶと大きく表示できます。





