成長しない理由を追って──現場から学んだ植物のしくみ

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農業ブログ

成長しない理由を追って──現場から学んだ植物のしくみ

2025/05/03

成長しない理由を追って──現場から学んだ植物のしくみ

植物に教わったこと

野良哲人|農人クリエこと十亀が綴る「光合成」

 

こんにちは、十亀です。
ここにあるのは、

私が光合成について学び、

自分なりに感じ取ったことや得た知識です。


まだまだ不完全ですが、

私の体験や思考が、

誰かの役に立つなら嬉しいです。

 


はじまりは、夏の圃場の違和感から

春にはぐんぐん伸びていた野菜たちが、

夏に近づくにつれて成長の勢いが鈍くなっていく。


太陽は強く、

気温も十分──

条件は悪くないはずなのに。


「どうして?」


それが、

私が光合成について本気で調べはじめた最初のきっかけでした。

 

 

その違和感を初めて意識したのは、

後藤農園で働く以前は、
水耕栽培農家で働いていました。

そこで第2農場の管理を任されていたときのことです。

 


出荷時期や数量を守り、

取引先にきちんと届ける。


そして、
社長の期待に応えるべく、

日々奮闘していました。
 

種まきの数量・収量・pHなど、

毎月の数値を丁寧に記録し、

経験と照らし合わせながら判断していました。


でも──

数値にも経験にも現れないことがあったのです。

 

……そして今、

こうして振り返ってみると、

思うことがあります。

 

あのとき、

私は「光さえあれば育つ」と思っていました。


でも現場では、

思うように成長しない日々が続きました。


出荷を遅らせてもらったこともありますし、
作物が病気で腐ってしまい、

損害を出したこともありました。

わからないことだらけで、

失敗も多くしてきました。

 

 

水温が高くなると根が傷む。

育ちが鈍くなる。
その当時は理由が分からなくて、

ただ必死に対処していました。

 

でも今なら分かるんです。
あれは、「限界温度」の影響だったんだと。


植物にとって、

気温も水温も“高すぎればストレス”になる
どんなに光があっても、

温度が超えれば、

成長は止まる。

 

 

当時は必死で試行錯誤して、

心が折れそうな日もありました。


でもその経験があったからこそ、
今、

私は後藤農園で自信を持って判断できていると思うんです。

 

 


光合成を知りたくて

私は、

光合成のことを一から学び直そうと決めました。
でも、

調べれば調べるほど、

見慣れない言葉がどんどん出てきます。

 

「光飽和点」

「限界温度」

「ストロマ」

「チラコイド」──
最初は何が何だかさっぱりでした。

 

でも、

少しずつ読み進めていくうちに、

「なぜ育たないの?」

という問いが、
ゆっくり言葉にな

り、整理されていく感覚がありました。

 

とくに、

「光飽和点」

の考え方には衝撃を受けました。

 


強い光を当てれば当てるほど光合成が進むと思っていたのに、

 


植物には“光の限界”があるなんて──。

 

 


小さな工場のような葉の中で

 

さらに調べていくと、

植物の葉の中で起きている反応は、
まるで小さな工場のように

役割分担されているとわかってきました。

 

 

光を受け取る場所──

それが「チラコイド膜」。
そこで水を分解して電子を生み出し、

ATPやNADPHというエネルギーをつくる。

 

そしてそのエネルギーを使って、

空気中のCO₂から“糖”を合成する場所が、
液体状の「ストロマ」。

 

つまり、

光合成は

“光のエネルギー変換”と

“糖の合成”が役割分担された複雑なしくみ

だったんです。

 

そして、

温度が高すぎると、

この連携が乱れてしまう。


エネルギーが作られすぎたり、

糖を合成する工程が追いつかなかったり。
工場がうまく回らなくなっていたんだと、

今なら理解できます。

 


振り返って、ようやく言葉になったこと

「光を受け取るのって、“選ぶ”ってことなのかもしれない」

あのとき、植物たちは
与えられた光をただ浴びていたわけではなかった。
強すぎるものは和らげ、

足りないものは補いながら、


環境に応じて、

自分にとって必要な“光”を選び取っていたのだと思います。

 

その気づきは、

植物を“作物”として見るだけでなく、


同じように生きて、

様々な環境の変化を、

植物自信が適応している存在として、


私の心に深く刻まれるものになりました。


この先も私は、

学び続けます。
でも、

こうして振り返り、

知識と感覚がつながる瞬間があったことを、
ここに記しておきたいと思いました。



最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

 

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