【検証】紅はるか‼皮の色の濃さで甘さが変わるのか?
2026/10/04
【検証】紅はるか!皮の色の濃さで甘さや味は変わるのか?
収穫3日目の「紅はるか」。同じ畑で穫れた色の薄い芋と色の濃い芋を、冷凍・常温それぞれの条件で焼き、甘さと食感を比べました。
※家庭用機器による個人の簡易的な検証です。今回使用した芋についての記録としてご覧ください。
1.実験内容と焼き上げ方法
比較したのは、ピンクがかった色の薄い芋と、一般的な赤紫色の濃い芋です。
- 常温の芋:トースターの上下ヒーターで1時間半加熱。
- 生のまま冷凍した芋:凍ったまま1時間45分加熱。
- 測定方法:小さじ1の芋に対して水3の割合で混ぜ、デジタル糖度計で測定。
2.糖度の記録
| 条件 | 色が薄い芋 | 色が濃い芋 |
|---|---|---|
| 冷凍から加熱 | 24.4% | 22.0% |
| 常温から加熱 | 22.8% | 20.4% |
※表中の数値は、すべて今回の測定で得られた元データです。
糖度計の6.1%と、4倍換算について
「冷凍・色が薄い芋」で糖度計に表示されたのは、水で薄めた試料のBrix 6.1%です。
希釈倍率=(芋1+水3)÷芋1=4倍
単純換算の目安=6.1%×4=24.4%
ただし、これは同じ基準の量で試料1:水3とし、均一に混ざると仮定した計算です。小さじで量った芋と水では重さが異なり、芋の成分がすべて水に溶け出すわけでもありません。24.4%は、芋そのものの正確な糖度を示す値ではなく、今回の換算の目安です。
3.食べてみた感想
冷凍から焼いた芋:若干のパサつきはあるものの、しっかり甘さを感じました。
常温から焼いた芋:しっとりしていて、旨みが強く残っていると感じました。
色の濃い芋には、より芋らしい旨みを感じました。一方、色の薄い芋も味が薄いわけではなく、十分な甘さがありました。
予備知識なしで食べてもらった感想では、冷凍焼きは「ホクホクしている」「甘いけれど、そこまで美味しくはない」。常温の普通色の芋は「これが一番美味しくてバランスが良い!」という評価でした。
4.なぜこの結果になった?(考察&理由)
なぜ同じ株で、皮の色が違うの?
サツマイモの皮の色は、表面にたまる赤紫色の色素によって決まります。同じ株からできた芋でも、育ち始めた時期や成長の速さ、周りの温度や水分などは少しずつ違います。そのため、色素が多くたまって濃くなる芋と、少なくて薄くなる芋ができると考えられます。
また、成長の途中で一部の細胞の性質が偶然変わり、色に違いが出ることもあるそうです。これを専門的には「キメラ」と呼びます。
ただ、今回の色の違いが、育った環境によるものなのか、偶然起きた変化なのかは分かりません。
それでも、色が薄いからといって味まで薄いわけではなく、実際にはしっかり甘さがありました。
皮の色と甘さは別の性質
皮の色は表皮の色素によるものですが、加熱後の甘さは、もともとの糖やでんぷんの量、でんぷんを麦芽糖へ分解する酵素の働き、芋の太さ、加熱温度や時間、水分量などに左右されます。今回、色の薄い芋の測定値が高かったことは興味深い結果ですが、「色が薄いから甘くなった」とは断定できません。今回使った芋では、そのような結果になったと捉えるのが適切です。
冷凍で数値が高く、食感がパサついた理由
野菜を冷凍すると、内部の水分が氷結晶になります。氷結晶が成長すると細胞膜や組織を傷つけ、解凍や加熱の際に、水分や水に溶けた成分がドリップとして外へ出やすくなります。研究でも、冷凍野菜では氷結晶が細胞を損傷し、解凍時のドリップ損失や組織の軟化につながることが示されています。
今回の冷凍芋では、細胞が傷ついたことで、希釈・測定時に糖分が液体側へ出やすくなり、糖度計の値が高く出た可能性があります。一方で、水分保持が弱くなるため、食べたときのパサつきにつながったとも考えられます。これは今回の結果を説明する仮説であり、糖の総量が冷凍によって増えたと証明したものではありません。
数値の高さと、おいしさは同じではない
糖度計の数値は甘さを考える手掛かりの一つですが、おいしさは、しっとり感、ホクホク感、香り、旨みなどにも左右されます。今回も、冷凍した芋は数値が高い一方、実食では常温から焼いた芋のしっとり感とバランスが高く評価されました。
5.見た目だけでは、中身はわからない
実験前は、どこかで「色が薄い芋は、味も薄いのではないか」と思っていました。いつも見慣れている濃い色を基準にして、見た目だけで中身まで判断していたのだと思います。
ところが、実際に食べてみると、色の薄い芋にもしっかり甘さがありました。多少の風味の違いはあっても、心配していたような味の薄さはなく、私には、ほとんど変わらないと感じるほどでした。今回の測定でも、色の薄い芋の方が高い値を示しています。
「見慣れたものが普通で、それがよいものだ」という思い込みが、自分の中にもあった。そのことに気づかされた実験でした。表面的な印象だけでは、中身まではわかりません。
見た目で決めつける前に、まずは食べて、確かめてみる。サツマイモの色の違いから、自分のものの見方も見直すきっかけをもらいました。
まとめ
今回の色の薄い紅はるかにも、しっかり甘さがありました。そして私が好みだったのは、常温からじっくり焼いたしっとりした食感。見た目も数値も参考にしながら、最後は実際に味わって確かめることが大切だと感じました。
参考資料
皮の色については、日本語論文に加え、同じ株でも色の違いが現れる可能性を扱った研究も参考にしました。
園芸学会雑誌:サツマイモの表皮色とアントシアニンの生育中・貯蔵中の変化
Frontiers in Plant Science(2021):同じ株でも色の違いが現れる可能性についての研究